⑦継続雇用制度の対象者基準の経過措置(Q&A3-2)
経過措置として、継続雇用制度の対象者を限定する基準を年金支給開始年齢以上の者について定めることが認められている。この基準の対象年齢は3年毎に1歳ずつ引上げられので、基準の対象年齢を明確にするため、就業規則の変更が必要となる。
【対象者基準を利用する場合の留意点】
・(原則)対象者基準(旧基準)を利用する場合は、平成25年3月31日までに労使協定を締結する必要がある。
・(例外:従来の協定書のみの場合)
運用上年齢基準が守られていれば、そのまま利用することが可能。
⑧対象者基準(新基準)の判断時点(Q&A3-4)
継続雇用制度の対象者の基準を判断する時点は、労使の判断に委ねられています。一般的には下記の時点が考えられます。
・基準対象年齢の直前
・定年時点
⑨対象者基準の内容(Q&A4-1~4-4)
(原則)各企業の実情に応じて労使協議の上定められたものであればよい。
(例外)下記の場合は、認められません。
・事業主が恣意的に継続雇用を排除しようとするもの。
・他の労働関連法規に反するもの
・公序良俗に反するもの
(例1)下記の例は認められません。
「会社が必要と認めた者に限る」(基準が無いに等しい)
「上司の推薦がある者に限る」(基準が無いに等しい)
「男性(女性)に限る」(男女差別に該当)
「組合活動に従事していない者」(不当労働行為に該当)
(例2)微妙なケース1
「過去○年間の人事考課が□以上である者であって、かつ、会社が必要と認める者」(×)
「過去○年間の人事考課が□以上である者、又は、会社が必要と認める者」(○)
(例3)微妙なケース2
「協調性のある者」「勤務態度が良好な者」という基準は可能か。
より具体的かつ客観的な基準が定められることが望ましい。但し、労使間で協議し
て決めたものであれば高年法違反とまではいえない。
④55歳での選択(下記の選択は可能)
55歳の時点で(ア)又は (イ)を選択してもらう。(Q&A1-5)
(ア)従来と同一条件で60歳定年
(イ)55歳以降の労働条件を変更した上で65歳まで継続して働く
55歳の時点で(ウ)又は (エ)を選択してもらう。(Q&A1-6)
(ウ) 従来と同一条件で60歳定年
(エ)55歳以降の雇用形態を上限65歳の1年更新の有期契約とし、労働条件を変更
⑤労働条件不一致(Q&A1-9)
条件が合意出来ず継続雇用を拒否した場合、それをもってして高年法違反となるわけではありません。但し、提示した労働条件が合理的な裁量の範囲内である必要があります。
⑥有期労働契約労働者の定年(Q&A1-11)
継続雇用制度の対象は、期間の定めのない労働者であり、有期労働契約労働者は原則対象とはならなりません。
【有期契約労働者】
(原則)60歳以降契約しない就業規則:問題なし
(例外)下記の場合は、期間の定めのない契約とみなされる場合があります。
・実質無期タイプ
有期労働契約が反復して更新されたことにより期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態の契約であり、雇止めが解雇と社会通念上同視できると認められる場合。
・期待保護タイプ
労働者が有期労働契約が更新されることを期待することについて合理的理由が認められる場合。
(1)継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
継続雇用制度の対象となる高齢者につき事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みを廃止する。但し、報酬比例部分が支給される年齢以降は従来の対象者基準を引続き使用することができます。
①対象者を限定できる仕組みの廃止のスケジュール
・平成25年4月1日~平成28年3月31日:61歳まで原則全員雇用
・平成28年4月1日~平成31年3月31日:62歳まで原則全員雇用
・平成31年4月1日~平成34年3月31日:63歳まで原則全員雇用
・平成34年4月1日~平成37年3月31日:64歳まで原則全員雇用
・平成37年4月1日~ :65歳まで原則全員雇用
②継続雇用制度の新旧対比
【平成25年3月31日まで】下記のいずれかの選択
・定年の引き上げ
・継続雇用制度の導入(労使協定による基準の設定可能)
・定年の定めの廃止
【平成25年4月1日以降】下記に変更
(原則)希望者全員を継続雇用制度の対象とする。
(例外1)就業規則の解雇事由又は退職事由(年齢に関するものを除く)に該当する場合は、雇用しないことができます。
(例外2)年金(報酬比例部分)の受給対象者は、従来基準の使用可能
③平成25年4月1日~平成28年3月31日の流れ
・60歳(更新基準(新基準)で判断:例外1)
・61歳(対象者基準(旧基準)で判断:例外2)
・62歳(対象者基準(旧基準)で判断:例外2)
・63歳(対象者基準(旧基準)で判断:例外2)
・64歳(対象者基準(旧基準)で判断:例外2)
改正点(平成25年4月1日施行)
(1)継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止(法第9条2項及び改正法附則第3項)
(2)継続雇用先企業の拡大(法第9条第2項、則第4条の3)
(3)違反企業に対する企業名公表規定の導入(第10条第3項)
(4)高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定(法第9条第3項)
【2012/11/13】労働契約法改正の詳細⑤です。
(3)不合理な労働条件の禁止不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するものです。
○下記の3つの条件を満たす場合は、不合理な労働条件とみなされます。
(ⅰ)同一の使用者が雇用する無期契約労働者の労働条件と相違する。
(ⅱ)上記(ⅰ)の相違が「期間の定めがあること」を理由とする。
(ⅲ)職務の内容、配置、職務の変更その他の事情を考慮しても不合理である。
無効とされた労働条件については、基本的には、無期契約労働者と同じ労働条件が認められると解される。
(2)「雇止め法理」の法定化
○有期労働契約の契約終了時(雇止め時)
【原則】期間の満了で契約終了
【例外】
(ⅰ)有期労働契約が反復されたことにより、雇止めが解雇と社会通念上同視できると
認められる場合
(実質無期タイプ)
(ⅱ)労働者が有期労働契約が更新される者と期待することについて合理的理由が認められる場合
(期待保護タイプ)
今回の改正は、上記(ⅰ)、(ⅱ)に該当する場合を法律で定めたものです。その場合は、「同一の労働条件(契約期間含む)で労働契約が更新・締結された」とみなされます。(無期契約に転換するのではなく、有期労働契約の法定更新です。)
(1)有期労働契約の無期労働契約への転換
③クーリング期間
有期労働契約と有期労働契約の間の期間が下記期間の場合(クーリング期間)、前の有期労働契約の期間は5年のカウントに加算されません。
(ⅰ)6ヵ月以上の期間
(ⅱ)契約と契約との間の期間が1年未満の場合は、その期間に2分の1を乗じた期間
(1)有期労働契約の無期労働契約への転換
②契約の申込の留意点
・「2以上の有期労働契約の通算期間が5年超」の労働契約の期間中であれば、
その契約の初日から満了日の間に、無期労働契約の申込が出来る。(無期転換申込権)
・申込により現に締結している有期労働契約の満了日の翌日から無期労働契約が成立する。
・契約期間の合計が5年を超えればよく、現実に5年を経過する前でも申込可能。
(1)有期労働契約の無期労働契約への転換
①有期労働契約が5年を超えて反復・更新とは?
・同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約を通算した期間が5年を超えた場合。
・使用者は企業単位で判断する。(事業所単位ではない)
・労基法14条1項で定める契約(土木事業等)の期間が5年を超える場合、
一度も更新が無い場合対象外。
労働契約法の有期労働契約に関する部分が改正されました。改正内容は下記の通りです。
(1)有期労働契約の無期労働契約への転換(労働契約法第18条:第2時施行後)
有期労働契約が更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申込により、無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換できる仕組みを導入する。
(2)「雇止め法理」の法定化(労働契約法第19条:第2時施行後)
最高裁判例で確立した「雇止め法理」を明文化(法制化)するものです。
(3)不合理な労働条件の禁止(労働契約法第20条:第2時施行後)
有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するものです。
10月24日東京会の自主研究会の発表大会がありました。
この大会は毎年春(3月)と秋(10月)にあり、それぞれ3研究会が90分の持ち時間で発表を行います。
私が所属する就業規則研究会も「災害時対応:BCMと就業規則」というテーマで発表を行いました。発表するにあたりリーダー就任の打診があり、最初は躊躇しましたが折角の機会でしたので引き受けました。
昨年12月に「発表プロジェクト」を立ち上げ、まずはスケジュールを作成・担当者決めを行い、担当者全員でテーマ選定を行いました。
東日本大震災もありましたのでなんとしても震災に関連したテーマにしたいと思い、BCM(事業継続計画)と就業規則を関連付ける上記テーマとなりました。
ITの会社にいたときは、スケジュール作成及びその進捗管理等が主な仕事でしたので大変でしたが懐かしさもありました。
各メンバーの協力もありスケジュール通りに進捗し、発表大会も大変好評でした。ちなみに発表の構成は、下記の通りです。
第1部:BCM/BCPの定義、内容
第2部:BCMにおける人事部の役割
第3部:東日本大震災で実際に発生した問題
第4部:災害に関連する就業規則の条文